第12回高校生RAP選手権サンプリング、ベストバウト解説まとめ

第12回高校生RAP選手権サンプリング、ベストバウト解説まとめ

 

ライター:MC派遣社員

 

 




 

みなさんこんにちは!先日、放送された第12回高校生ラップ選手権@幕張メッセ。

 

僕としてはバラエティには富んだメンバーで、良い試合が多く、かなりハイレベルな回になったかな、という印象です。

僕の選ぶベストバウトとその解説で振り返って行きましょう。

また、ラウンドごとにサンプリング(引用やネームドロップをここではまとめてそう呼びます。)のまとめをつけました!

 




 

【1回戦】

MOGURA対よんろく

MOGURAは前回大会で散々「ネタ!」「他のMCの韻のパクリ!」と言われ、自分のスタイルを模索する中で、「日本語ラップネタを絡めたアンサー力」を磨いて来たと思われます。UMB北海道予選では、禁断のビートがかかれば「太陽なんてとうの昔に死んだよ。」とアンサーを切り返すなどしてベスト4入りを果たしました。

対するよんろくは戦極を中心に東京、神奈川で活躍しているイメージでしたが、知名度はそれほど高くないながら、早口でのビートアプローチ、韻の落とし方に関しては1つ飛び抜けているスキルを持っている印象でした。

MOGURAは「高校生韻踏みコンテストを終わらせに来た」「絶対にこの状況は良くない」と、これまでの選手権に多かった「韻で客を味方にして勝つスタイル」に異議を唱える形に。

しかし、逆によんろくが「落とし込んだバンジージャンプ、ちゃんと乗りこなすこのビートキャンディタウン」と、ヒップホップの知識を使いつつ韻を踏み、細かなビートの強弱に気を使った上での早口アプローチをしたため、今大会のやろうとしていたMOGURAのスタイルが崩された形になりました。

 

Luiz対G-HOPE

とても好きな試合になりました。韻の量と落とし方、その質での勝負になりました。似たタイプの2人でしたが、身振り手振りなどのパフォーマンスと連想ゲーム的フリースタイル(延長最終ターン)を上手く使ったG-HOPEにギリギリ軍配が上がったかな、という印象です。

 

NOMAN対はまぞう

NOMANは非常に面白いラップでした。まず声量がかなりあり、勢いと迫力が選手権勢にはなかなかいないタイプでしたね。あのバイブスを維持してあそこまでのフローを持続させるスキルは流石でした。が、決めどころという面ではまぞうに一歩リードされる展開となってしまいました。

 

Red Eye対JB

始まった瞬間から「たんまり吸う」と「カンナビス」のライムを発したRed Eye。僕は思いました。

「放送作家さん!大丈夫ですか?」

JBも沖縄からの刺客ということでかなりの音感とリズムキープを操っていて、相当うまいラッパーだということはわかったのですが、それ以上にRed Eyeの選手権においての斬新なスタイルが幕張メッセに「ウケた」ということが勝因でしょう。本当に「ウケた」。

会場の盛り上げ方がかなり独特だったと思います。ただただマリファナや薬の話をするだけではなく、韻や、韻と韻の間の言葉にユーモアやセンスを感じました。

 

いそじん対TERU

小柄な体型ながらバイブスと言葉を詰め込むチャレンジャー気質ないそじんに対して、どんな言葉でも即座にサンプリング、意味合わせを含む韻を落としまくるTERUの勝負はBPMの速いビートでこそ生きてくるのでは?と、思ったとおり、延長でビートのBPMが速くなると同時に2人の勢いも加速しました。

いそじんの初め2小節のDJ KENBO→ターンテーボー→ISO→革命を、がいそじんサイドではそれを物語っていると思います。

が、対するTERUの「未だにスキルの厚化粧。こいつの返り血俺のファンデーション」が会場にハマりました。厚化粧とファンデーションはどちらも化粧の用語として使われますが、間の「こいつの返り血」まで含め、完全に意味を通して長めの韻を即興で踏めるのがTERUの強みでしょう。

 

Hardy対Core-Boy

戦極16章-DOPE WEST-で勝ち上がり注目を集め、前回大会1回戦負けとは思えない貫禄で出場したHardy(まあ、そもそも前回の1回戦負けの試合もかっこよかった。)

対する絶対的な優勝候補として呼び声が高かった前回準優勝者Core-Boy。1回戦で最も見応えがある試合になりました。

DJに敬意をあらわすためのサンプリングを駆使し、賽の目サイファーで磨き上げたであろうスキルをしっかりとアピールするCore-Boyに対し、優勝候補のCore-Boyに攻撃的なフローとアティチュードで会場を盛り上げるHardy。Core-Boyの勝利となりましたがネット上では疑問の声も。

審査員表も3:2の僅差だしそんなに文句あるのか…って感じです。かなり高いスキルのぶつかり合いだったと思うので、Hardyの敗因をあえて探すとすれば、最終バースでここまでの話の流れを断ち切ってしまったことでしょうか。なんにせよ良いバトルでした。

あ、あと挑めのサンプリングで会場がわかなかったことに対して「これもわかんないのかよwwにわかすぎww」とか言ってるコメント欄に2つだけ。

1.逆に盛り上がると思ったのかよ。毎回こうなんだからもうそれいいよ。初心者も楽しめるイベントって逆にクオリティ高いぞ。

2.サンプリングわかったからってなんでもかんでも手あげて叫べば良いわけじゃないのよ。

 




 

【1回戦サンプリング等まとめ】

MOGURA「ディズニーランドに一緒に帰っていーよ」

→CHICO CARLITO(vs魅RIン戦極13章)

「新潟から来てるんだったらじゃ、帰っていーよ」

 

CESIA「このステージに立つこと、はやいはやいはやい

→JinmenusagixDubbymaple/はやい

フック部分「はやいはやいはやいはやい」

 

G-HOPE「禁断ボーイズ俺が6人目

→Core-Boy(vs4stump第11回)「禁断ボーイズの5人目か?」

 

NOMAN「Rykeyのホンネで、ホンネとホンネ。バトル弱いから本でも読んで」

→Rykey/ホンネのネームドロップから晋平太/Devil’s toungueの「ホンネとホンネ。できなきゃお家で本でも読んで

 

いそじん「韻を踏むなら和歌や短歌、ヒップホップミュージック俺はラッパー」

LEON a.k.a.獅子(vs small fish第8回)
韻が踏みたいなら和歌や短歌、ヒップホップミュージック俺はラッパー」

 

 

だーひー「今年は全部宮崎に任せとけ」

MOL53(UMB2016)「今年は俺に任せろ」

 

Hardy「Core-Boyより行く果ての果ての上、ジブさん使っていっちょ金儲け?」

Lamp Eye/証言 ZEEBRAバース「ヒップホップ使っていっちょ金儲け」

 

Core-Boy「超heavyでゴメンネ。今まで見たことないこのタイプ」

JP THE WAVY/Cho Wavy De Gomenne

「超Wavyでゴメンネ。今まで見たことないこのタイプ」

 

Core-Boy「一度目も二度目も必ず最後まで行く」

KREVA/挑め「一度目も二度目も何度目も正直」




 

【2回戦】

G-HOPE対はまぞう

先行1発目から果敢に韻の連打を浴びせるG-HOPEでしたが、はまぞうが天才バカボンから「太陽は西から昇る」と返し、韻を詰め込むスタイルを「お前は整理整頓が出来ねえ」と表現しました。僕はこれすごい好きですね。「韻ばっかり!」みたいなのもバトルで使われるテンプレートディスですが、そこを上手く表現したディスとしてかなり感覚が豊かだなぁ、と。

そのあとの「こいつの言葉とかけまして、上り専用のエスカレーターととく。その心はどちらも絶対くだらない〜〜」というG-HOPEの謎かけディスははまぞうとのバトルを韻だけにこだわらず、あえて相手の土俵で会場を盛り上げるというある意味での真っ向勝負。バトル巧者ですね。

そのあとのはまぞうの 『うなぎ』のぼり→『いくら』でもいる→『いか』さま の魚介ネタも嫌いじゃないです笑

 

TERU対Red Eye

間違いなく今大会1のベストバウト!

まず延長前に関してはTERUは7,8文字くらいの韻を踏み続け、4小節目と8小節目でそのグルーブが完成し、お客さんが一気に盛り上がるというスタイルでした。

TERUの得意とする分野でしょう。
Red Eyeは2小節ごとに細かな韻でもバイブスを使ったり、サンプリングを使ったりして会場を2→4→6→8と徐々にロックしていきました。

その証拠に2ターン目の最後の「王者はこっち!」という言葉は、韻も踏んでいませんし、特別強いパンチラインというわけではありませんが会場はしっかり盛り上がりました。あれはあのワードで盛り上がったというより、あそこまでで完全に盛り上がる流れを作りあげたのです。

それに続いて延長の先行のRed Eyeの最初「辿れよルーツ、常識やルール、変えに来てるから破ったルール」も、ルールが2回出てしまっていますが盛り上がりとしては間違いないです。

もちろんそこまでの言葉はめちゃくちゃカッコ良いんですが、この雰囲気で盛り上げるのはRed Eyeの技でしょう。

CHEHONの痛快エブリDAYのサンプリングもMCバトルというよりはもはや「ライブ」。

元ネタを知らない人にとってもあの場面で彼の盛り上げ方にやられる人がほとんどだったでしょう。

しかし、TERUはそこを韻で潰しにかかります。

「フローがつまんない。俺のライムはナチュラル無農薬野菜」

ナチュラルはマリファナや薬物をやらない状態のことです。野菜とはマリファナの隠語としても使われますのでこのライムは意味合わせも完璧です。

 

「お前が最高到達点?上からの太陽光発電」

これもすごい。ネタだと思ったそこのあたな。よく聞いて!

恋人KIDAの戦極女帝杯のサンプリングでもありながら、Red Eyeが行った痛快エブリデイの「これは自然と太陽の恵みで」に対しての「太陽光発電」。

見事としか言いようがありません。

後に出てくるR-指定ので解説であったのですが、

 

R「選手権ではかしわ君以来のレゲエっぽいフロー。レゲエの「ボスり」みたいなのをやり続けててすごかった」

と。ボスるっていうのは1度盛り上げた会場の高まりをロックしてそのまま盛り上げ続けるみたいなことなんですが、まさにその通りだったでしょう。

 

2回戦サンプリングまとめ

 

CESIA「韻は硬さじゃねえ。深さが大事」

蛇ツイート

 

CESIA「トーマス劇場。将来の生き方本末転倒。やっていくノーガード戦法。履き違えんな本番と稽古」

R-指定(vsスナフキン FSD)
「俺はお前のガードの上からも砕くノーガード戦法、履き違えんな本番と稽古」

 

Red Eye「韻を踏むのが大前提。裏庭独走最前線」

TERRY THE AKI-06/裏庭独走最前線

「裏庭独走最前線。大阪底上げ大作戦」

 

TERU「居場所は音の上、邪魔すんなよなちょっとそこどいて」

NAIKA MC,MC CARDZ,呂布カルマ,RITTO/BACKBORN

 

TERU「まるでNAIKA MC。首切ります。バルタン星人」

K-razy(vs裂固 2016戦極U-22)「まるで頭にマンガン電池、首切ります。バルタン星人」

 

TERU「お前が最高到達点?上からの太陽光発電」

KIDA(戦極女帝杯)「最高到達点、a.k.a音Solar、できない太陽光発電」

 

TERU「小節の中、しっかり言葉を打っていくブルーハーツみたく情熱の薔薇」

THE BLUE HEARTS/情熱の薔薇

 

Red Eye「ここならすぐ交わるぜ。髪の毛と女すぐ飽きちゃうぜ」

ANARCHY/HELLA RICH feat.CRAZY BOY

「女の子と髪型にはすぐに飽きる」

だーひー「2017は宮崎に全部任してくれ」

MOL53 1回戦の時と同じ

 




 

ベスト4

CESIA対G-HOPE

G-HOPEは安定して長い言葉でも会話としても韻を落として、スキルのブレなさを実証しました。対するCESIAは2回戦までの勢いが少し落ち、攻め切ることが出来なかったかな、と。髪色のぶどうのディスをもう少し発展させていたらG-HOPEも苦しむ展開になっていたかもしれません。

 

Red Eye対Core-Boy

Core-Boyが固く韻を踏み続け、マリファナの話をするRed Eyeをディスった1ターン目でしたが、

会場の上がり方としてはそのあとのRed Eyeの「何が違うんだ?タバコとマリファナ。リスペクト送るぜ練mother fucker!」で、完全に持って行かれました。

 

正直、ZORNのサンプリングと「スモーキングハイ→無法地帯」の意味合わせのライムが無ければ、Core-Boyの1ターン目は完全に無力化されていたでしょう。

 

ちなみに、おそらくこのRed Eyeのネームドロップがこの日1番会場が盛り上がりました。

このあとのCore-Boyのバースですが全く韻を踏みません。僕はMCバトルのこれが好きです。普段韻を踏んでいる人が韻を踏まなくなると別の雰囲気が出る時があるんですが、

今回のCore-Boyのバースがそれだったと思います。その上でビートを外さず、早口でアプローチしたため、スキル的にも問題なしです。

Red Eyeは「ライン越えてる」の返しとしてゆるふわのサンプリングをしましたが、あえてその前に「SNS!」ということで、前回からのCore-Boyの「SNS」という関連ワードをかけ合わせることにも繋がりました。

大納得の延長戦。

ビートがMake Some Noiseだったんですが、これはZORNも参加してる曲なのでMy lifeからの流れで流したのでしょう。思わず会場でさけびました。

「ナイスDJ!!!!!」

Core-Boy「俺の成功モデルは常にホリエモン。お前雑魚だろうが、くそがどいてろ」に関しましては、Core-Boyのやりたいこととかを聞けばなんでそれ言うのかわかると思うんで、今度UPするCore-Boy独占インタビューをどうぞ!

 

ベスト4サンプリング

CESIA「下行きすぎてオーバーグラウンド」

まゆちゃむ(vsCESIA 戦極女帝杯)「アンダーグラウンド、うちはアンダーすぎてブラジルではオーバーグラウンド」

 

Core-Boy「繰り返しの生活。赤目ひん剥き白でWake up」

ZORN/My Life
「繰り返しの生活。目をこすり開ける玄関。」

 

Red Eye「SNS!LINE開くよりラインを引け!」

ゆるふわギャング/Dippin’Shake「LINEきくよりラインを引け」

 

Red Eye「大阪ラストの俺がエンペラー。Twitterで語りまくりこいつただのメンヘラ」

4stump(vsCore-Boy 第11回)「俺がコリアラストエンペラー。Twitterで語りまくりこいつただのメンヘラ」

 




 

決勝

この勝負はある意味高校生RAPらしい韻のスキルを重視しての戦いになりました。

 

そうなると意味を上手く合わせられた方だったり手数の多い方に軍配が上がります。またはより即興であることを証明できることになるのですが、高校生RAPでは審査員があまりそこを重視しすぎていない部分もあります。

 

お互いに7,8文字の長い押韻の手数を出していましたが中でも圧巻だったのがCore-Boyのマーメイドラグーン(ディズニーシーのアトラクション)→賛成票多数→シャー専用ザク、でしょう。

 

本人はTwitterでこれを「引き出し」だった、と語っています。

「即興」とは引き出しとその場で思いついたワードの組み合わせで成り立つのは当たり前です。以前に思いついたことがある韻が頭の中にあって「使う場面だ!でも元から思いついていたことだからやめよう!」なんてMCはいないと思います。

この引き出しの引っ張り方は流石と言うべきものでしょう。

G-HOPEははじまりのサンプリングの勢いと、この大会で作り上げた決勝のカードはこの2人しかありえない、というドラマの作り方が非常にうまかったです。

戦極15章のGADOROは1回戦からMOL53との決勝を望んでいました。
そのため決勝がよりドラマチックなものになったのですが、G-HOPEは今回それと似たような戦法で自分の強みをより強く魅せられていたような気がします。最高のエンターテイナーです。

延長に関してはCore-BOYがG-HOPEに「火拳のACE」をライム読みされたあとのライム読み→最終奥義→アイスコーヒー→マイストーリー、までつなぎ切ったことや、AKLOのサンプリングをしたこととG-HOPEがうまくアンサーを返しきれなかったことで差がついたかな、という感じです。

 

決勝サンプリングまとめ

G-HOPE「下駄箱に置き去りのハイヒール。必死で磨きあげたライミング」

ANARCHY/fate

「下駄箱に置き去りのハイヒール。写真の中笑顔でハイチーズ」

 

Core-Boy「つまりこいつ負けてすぐに悲しい目。ネット使った戦法新しいぜ」

ANARCHY/fate

「笑ってるけど悲しい目。夜中の公園に裸足で」

○1個上のやつと同じ

 

G-HOPE「俺は青コーナーでも赤いザク。今日も1番俺がやばいはず」

G-HOPE(vsHardy 第11回)「わかります?青コーナーでも俺赤いザク」

 

Core-Boy「ギドラ、ブッダ、カミナリ、ペイジャー、こいつがG-HOPE、俺がCore-Boyじゃ」

→般若/最ッ低のMC

般若「ギドラ、ブッダ、カミナリ、ペイジャー、俺が狂ったのやつらのせいだ」

 

Core-Boy「無い経験値。まるでAKLOみたく空を飛んでI represent me」

AKLO/RGTO feat.SALU,鋼田テフロン&K DUB SHINE

「いつもどおり I represent me」

 

G-HOPE「ライム勝負、後で飲むかマリブコーク」

4Stump(vsCore-Boy 第11回)「残る昨日の道のマリブそれと梅酒ジンジャエール」

 




 

まとめ

今大会はサンプリングが多かったのですが、それについてネット上ではにわか叩きみたいなのが恒例行事として行われているようですね。もはや微笑ましい!知ってるからって全部盛り上がるわけではありません!

ま、そんなことより、今大会の1番のダークホースとなったのがRed Eyeでしたが、なぜレゲエのサンプリングが多かったのでしょうか?

関西、大阪はレゲエの本場なのです。なので、ヒップホップとレゲエの繋がりも関東より近く、関西のヒップホップ好きはレゲエも大好きだという人が多いのです。Red Eyeはそのうちの1人だったのでしょう。

チャンピオンになったCore-BOYがここから何をしていくのか。また、彼が出ないと公言している13.14回は誰が獲るのか。次回もぜひチェックです!




日本語ラップ好きなら絶対!!

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