Lick-GがMCバトルにもたらしたもの

Lick-GがMCバトルにもたらしたもの

MC派遣社員
「どうして?どうして最近のMCはみんな俺の真似をするの?ねえ、どうして?」
戦極バトルロワイヤルのライブの時、Lick-Gはこんなことを言っていました。
Lick-Gは今高校3年生。年齢にして17歳か18歳です。
こんなに若い彼の真似をみんながしだすといった理由は、とりわけ彼が日本で「自分しかしていない」「自分が始めた」ことを他のMCが行なっていると思っているからでしょう。
では、彼がMCバトル界隈で騒がれ始めた2〜3年前。彼は一体どんな価値観をMCバトルに持ち込んだのでしょう。

1.ライム読み

マイクを通しての「ライム読み」が流行り始めたのは彼の影響でしょう。
ここでいうライム読みとは、相手が次に言う韻の落としを、マイクを通して同時に言うことで、「お前のその韻読めるレベルだぞ?」と伝える技です。

MCバトルにはバースとよく言われる「ターン」があります。例えば「8小節2本勝負」のルールではお互いに8小節のターンを交互に2回ずつ行うわけです。相手のターンにすることといえば、相手のバースを聞き、次の自分のバースを考えることくらいでしょう。動きをつけて相手を挑発したり、睨みを利かせて威嚇したりすることもありますが、マイクを使うことはまずありません。
相手のターンは「自分の黙っているターン」なのです。
これはルールであり、MC、観客、司会には言うまでもない当然のことでした。
しかし、彼を有名にしたのがschool of rap2015です。この大会で彼は、高校生ラップで絶大な人気を誇っていたTAKA a.k.a. Willy wonkaを倒し、優勝したことも有名になった一因ですが、大阪のクリプトンとの試合で今までのMCバトルの概念を覆したのです。
クリプトンはよく「R-指定の二番煎じ」と言われてしまうことがあるように、若い時のR-指定のように長めの押韻を小節末にぴったりとはめるタイプでした。
彼はLick-G戦の7小節目で「クリプトンだ」とハメ、8小節目の最後の韻を落とそうとした瞬間、Lick-Gが「首釣ろうか!」とマイクを通してクリプトンと共に叫んだのです。
このライム読みは実は読み間違いで、別の韻をクリプトンは落としているのではないか?という意見もよくありますが、重要なのはそこではありません。
Lick-Gは「黙っている時間」の暗黙のルールをぶち破ってしまったのです。
そこからLick-Gはフリースタイルダンジョンや他のあらゆる大会でもその「荒技」を使い始め、世間にその方法を浸透させていきました。
第11回高校生RAP選手権で9forがミメイに対しライム読みをした時は、あまりに驚いた小藪が「あれはありなんですか?」とルールの確認を求め、高校生RAP選手権では原則禁止となりました。
しかし、それをしたからと言って負けにはできない。なぜならhip-hopはどの音楽よりも自由であるという意識がリスナーやプレイヤーの間で強いからです。

2.3連符

3連符とはなんでしょう。それは音楽用語において、本来2音にする音を3個詰めることです。
ラップにおいていえば「タタタ」「タタタ」「タタタ」「タタタ」と三音区切りでフローすることにあたります。
フリースタイルダンジョンでは「このMi」「gosみ」「たいな」「3連」「のフロー」といった具合でしたね。

高校生RAP選手権では「たまに」「悩み」「ばかり」と繋げていきましたね。
これを彼は超高速で行なったり、強弱をつけて行なったりすることをフリースタイルの中で行います。
このあたりの緩急のつけ方は今も日本で多くのMCが使っていると思いますが、いち早く使っていたのはLick-Gではないでしょうか。

この2つはLick-GはUSのラップから取り入れたようですが、日本に「浸透」させたのは彼の影響が大きいでしょう。
彼はhip-hop IQがかなり高いことでも知られていますが、だからこその若い時からのラスボス感なのかもしれません。



日本語ラップ好きなら絶対!!

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