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『戦極U-22第2次予選』観戦レポート

戦極 U-22第2次予選を見てきた。

入場無料ということで、早くも休みに入ったらしき学生などで会場の渋谷ロフト9は満員。その分ライブやバトルでの観客の反応も良く、大いに盛り上がった。

予定より遅れて開場し、オープニングDJを務めるEeNYはキミドリ『自己嫌悪』などをかける。

またEeNYは1回戦のバトルDJも担当した。

 

 

 

トップバッターはVAN POLLOのライブ。

トラップビートに滑らかな英語混じりのフロウをのせる。
「Guess who’s back? 振り向いても誰もいなかった」みたいなリリック。
DJはTACKMA。

 

 

次にBLACK BASSのライブ。
GERAが英語でフリースタイルをかます。
かと思えば「空に咲いたFire」と花火のことをリリックで表現するような、新しいサウンドの中にも日本の伝統的な夏の景色を溶け込ませる曲などで、幅広い層の人々に訴えかける。

 

 

 

MCバトルの1回戦は4人一組で8小節を2周するバトルロワイヤルルールでおこなわれた。
司会はMAKAとMC KUREIが務め、観客の歓声による判定が割れた際もこれまでのようにMC正社員は登壇せず、若い二人の司会者たちに判断が任される。
盛り上がらなかったら4人全員敗退もありうるという過酷なルールだったが、今回はそれは起きなかった。
また、昨今の事情を踏まえて「危険なものは持ち込んじゃダメ!」との注意喚起がなされた。

 

1回戦で印象に残ったのは、Fly☆Againのアグレッシブさ。
自分のバースでは他の3人を次々とdisり、4人目のscienceがステージ中央に出てきた際には負けじと前に出てアピールする。
1対1とは違ったアプローチで、見事そのグループ内で観客の支持を最も集め、1回戦を勝ちぬけた。

 

また8組目は個々のレベルが高く、れっするTOMくんがレゲエをレペゼンし「野菜がおかず」と嘯くと、Ren(*´▽`*)が「そういうのとは決別してくれ ねるねるねるね」と長い韻を踏み、K-Noizは「シャネルに取りつかれた女の子」とAwitch『WHORU?』から引用を見せる。
しかし最後のAGOBOYがフロウと韻で持っていった。

 

 

1回戦を勝ちぬいた、

がじゅまる、T-Swagg、Sigto-N、ONO-D、midori、MC龍、SHAMA-ZO、マー坊、ストローム、MCマロン、藤KooS、Fly☆Again、MC派遣社員、AGOBOY、SHABAZ、炙、sideburn、K’ill、Puzzの19人に加え、
敗れた中からMC正社員が良かったと思った、A-Zell、science、damn、Joker、SHOICHIRO、ヘルメス、Novel、ヨシキ、SIMの9人が選ばれ、28人で2回戦を闘うこととなった。

 

バトルはいったん中断して、SHABAZのライブ。
日本のイメージを歌う曲や、途中にイスラム教の祈りの言葉を入れたという『摩天楼』、先日のMRJ放課後編でいち早く披露した『chain boy』などを披露。
同世代のヤバい面子も参加したEPが近いうちに出るそうだ。

 

続いてNillNicoのライブ。
APELIL、MIRIN、lil Ashesら$calemobの仲間たちとともに『My Team』『soredake』、さらに虎の子 大河ビーツの新曲『I’m young』を披露。

 

 

2回戦、SHOICHIROの外見いじりに
ストローム「肥えた分 壁を越えた」
そして今日イチのパンチライン
「音楽を食ったらこうなった」
で圧倒的勝利!

 

 

この日一番名前を上げたのが、大阪から乗り込んできた17歳の藤KooS。
早口のフロウのキレだけでなく、2回戦でsideburnとバトルした際の
「大阪から東京まで来た目立ちたがり屋」
のあと、脚韻がくるぞと思ってたら
「本物のエンターテイナー」と言ったのは、
「目立ちたがり屋」の語尾が「我リヤ」とかかっていて、ラッパ我リヤの曲『エンターテイナー』のタイトルを決めどころに持ってきたというHIP HOP IQの高さも併せ持つ。

また「Ninja」を自称するONO-D、
「生きるか死ぬか」と切迫感のある勝負を仕掛けてくるK’ill、
全般的なスキルの高さを誇る炙(あぶり)、
延長まで行ってヨシキと激しいdisり合いから最後にはお互いを理解し合ったPuzzらが勝ち上がって頭角を現した。

 

SAMのライブ。
「なんのため~♪」というシリアスな曲では、なめらかに速いフロウで長く韻を踏みつつ、文章としても成立してて耳への浸透度合がすごい。
最後に披露した『Castle』には凜太朗が参加。
17日の戦極17章の会場で新譜を販売スタートするとのこと。

 

Masa&トラヴィス・スットコのライブ。
年明けに話題になったばかりのホットなトピックを扱った新曲を惜しげもなく披露し、テッパンで盛り上がる曲『Ultimate(Remix)』は途中から親交の深いラッパーたちが登場してMasa自らもリリックを書き足し「Re:Remix」。
3月末にデジタルEPとして発表されるそうだ。

 

ベスト16では、damnがSigto-Nに
「お前はTERUミメイの下位互換」
それにSigto-Nが
「俺は関西じゃなく大分、MOL53と同じく九州を背負っている」
と返すと、
「MOL53聴いてこんなラップになるのかよ」
とまた痛烈にdisって一触即発。

 

ここでDJ WATAによるスクラッチショウケース。
WATAはバトル終盤のブレイクDJも担当し、WAZGOGG名義で発表しているオリジナルビートなどをかけた。

ベスト8 の対戦結果
MCマロン × vs ○ 炙
がじゅまる ○ vs × ストローム
damn ○ vs × ヘルメス
藤KooS ○ vs × SHABAZ

 

 

damnはヘルメスに対しても
「東京の海に迷い込んできた神奈川の小魚 必死に噛みついちゃって乳歯はえたてピラニアか?」とdis。
ヘルメスも「ピラニアの例えは前も言ってた お前こそ成長していない」と返し熱いバトルが展開された。

 

 

ベスト4による準決勝、まずは炙 vs がじゅまる。
先攻の炙が
「適当な仕込みの韻より会話がしたい」
と言うと、がじゅまるは
「会話とか言ってもスキルがなきゃ意味がない スキルで会話 I’m a rapper」
と返す。
それに炙が
「その割には大した韻も踏んでない」
と突っ込むも、がじゅまるは
「長い韻だけじゃない 俺は中毒者 お邪魔します 鼓膜入国者」
と内容も韻でも見事なアンサーで勝利。
もしかしたら「韻中毒」という韻踏合組合『揃い踏み』のリリックの引用かもしれない。

 

準決勝第2試合はdamn vs 藤KooS。
damnが
「エイエイ言ってるだけじゃねえの?」
と侮る発言をすると、藤KooSは
「だったらここまで上がってきてない。
お前は追いつかれてる。あれ、老いて疲れてる?」
と返す。
「お前のパンチなんてアマチュアボクサー」
というdisにも
「だったらお前はプロと名乗れんのか?
負の連鎖 お前は演じてるだけのプロレスラー」
とフロウだけでなく韻でもアンサーして藤KooSの勝利。
試合後、二人はお互いの実力を認め合った。

 

決勝は藤KooS vs がじゅまる。
8小節×4本の前半、
がじゅまるが前のバトルで言っていた
「スキルで会話」
を引き合いに出した藤KooSが
「スキルは明らかに俺より劣っている
音の上に乗るスキルなんていらないって言ってたのに俺の真似してる」
とdisると、がじゅまるは落ち着いて
「I’m a story writer、策士(作詞)なんだよ」
と返した。
まさに勝利へのシナリオを書いて、その策が成功したって感じでかっこよかった。

 

その後も勢いにのる藤KooSに、老練なスキルでときにすかして相手の勢いをそぎ、そこにアンサーを打ち返してことごとく外野スタンドに叩き込んだ、がじゅまるが優勝!
バトル終了後もしばらく歓声が鳴りやまず、判定で藤KooSのときには歓声の代わりに健闘をたたえる拍手が起こるという、爽快な大会となった。